STELLACEPT online 不定期連載 キャプテンステラ 第一話 ツァラトゥストラはかく語りき
いやね、先日剣がLV5になってね、嬉しくて行ってきたんですよ、廃墟。
中の敵がなかなか手強くてね、もう参っちゃって。
ちょっと戦ってみたけど全然歯が立たない。
それでもう逃げろーってなって、一目散。
細い道を走って走って、草を掻き分け掻き分け、いくつか吊り橋をわたったところで。
急に開けたところに出たんですよ。
そこは他の場所と違ってね、すごく静かで。
虫の声なんかも聞こえるの。
リーン リーン ってね。
そこは突き当たりだし、追ってきたモンスターはもう撒いちゃったみたいだし、そろそろ街へ帰ろうかな、なんて思ったところ向こうの方にぼや~っと紫の炎が浮かんでいるのが見える
おや、なんだろう 誰か探しに来てたのかなと
ザッ ザッ ザッ
一歩一歩近づいていったところ
もうすこしでそれがなにかわかりそう、というところでその炎がすぅ~っと消えたんですね
あたりは一面薄暗く、また虫の声が聞こえる
リーン リーン
でも何もいないはずなのに、確かにそこに何かがいるのね。
目に見えない何かが、目の前を、すーーーーっと横切るのを感じるわけ。
もう震えちゃって歯の根も合わないぐらい
ガチガチガチガチガチガチガチガチ
そしたらその気配が、すーーーーっとまた私の回りを回ったかと思うと、ちょうど後ろで
ピタッ
っと止まったんですよ。
やだなやだなやだなこわいなこわいなこわいなこわいな
でも振り向かないわけにもいかないから、そーーーっと振り返ってみたら
そこにいたんですよ
木霊が
もうビックリしちゃって。
私こんな話し方ですけど一応女じゃないですか、悲鳴をあげそうになったんですけど
本当に怖いときは声がでないんですよ
無音の叫び声ですよ
いやだいやだいやだ
死にたくない死にたくない死にたくない
必死で謝ってみたりもしたんですが、どこかに行ってくれる気配もない。
ああ、私ここで死ぬんだなぁ。
お父さんお母さんごめんなさい。
私きっとここで死にます。
なんて覚悟を決めたんですけど。
ああ、どうせ死ぬんだったらワールドミッションに参加して、総司令官の趣味の死人カウントでカウントされて靖国神社に英霊として奉られたかったなぁ、なんて、死ぬときまったら不思議なもんで、そんなどうでもいいこととか考え始めちゃうんですよね。
その時ですよ。
どこからともなく一人の男が現れて、木霊と戦い始めたんですよ。
いやー強かったですね。
私なんかまるで歯が立たなかった木霊をあれよあれよという間にボコボコにして。
やっつけてしまったんですから。
男は一言、キャプテンステラと名のって消えていきました。
うーん、誰だったんでしょうね、あの謎の男は。
いやキャプテンステラなんでしょうけどね。
そのあとたまたま通りかかった男性に助けてもらってテルティの村まで運んでもらったんですが。
ありがとうございます、ってお辞儀をして
ひょいっと頭を上げたらもういないんですよ
今でもあの偶然通りがかった男が誰だったのかわからないんですよねぇ
あの辺りたくさん人が死んでいるから、もしかして彼も、なんて考えたりするんですけどね
最近このような謎の男の目撃情報が多く寄せられています。
次回もまた別の目撃情報をお送りしたいと思います。
突如破られた平和な生活
新米戦士に降りかかる理不尽な危機
アヴェルホアの平和が破られるとき あの男が再び現れた次回 キャプテンステラ 突然炎のごとく
お楽しみに(千葉繁)